二次創作しょーせつです!! しょーじき言って小説ってなんかショボいんすけど、結構いい感じにできたんじゃないかと思っています。 シャキさんが思ってるうちゅじんと違いすぎてムカつくかもしれませんが、最後まで見てくれるととても作者が喜びます。 あと脳死で作った部分があるので、設定が少しおかしいかもしれません。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー その星に、名前はなかった。 宇宙の彼方。 地球によく似ていて、それでいて地球ではない星があった。 青い海。 広大な森林。 雲の浮かぶ空。 そして、そこには人間によく似た姿を持ちながら、人間ではない生命体が暮らしていた。 彼らは、猫のような耳を持つ者もいれば、丸い瞳を持つ者もいる。 二本の足で歩き、言葉を話し、笑い、怒り、恋をし、夢を見る。 文明は長い年月をかけて発展していった。 やがて彼らは、地上だけでは飽き足らず、空へと進出した。 飛行船。 人工衛星。 月面基地。 そして――。 「完成したぞ!」 巨大な格納庫に、歓声が響いた。 そこに鎮座していたのは、かつて誰も見たことのない巨大宇宙船。 全長数百メートル。 船内には居住区、研究区画、医療施設、通信室、エンジンルーム。 そして、この宇宙船最大の特徴。 重力制御装置。 それさえあれば、どれだけ巨大な船でも、宇宙空間を自由に航行できる。 「これで、我々は宇宙のどこへでも行ける!」 「ついに完成したんだ!」 「すごい……!」 人々は笑っていた。 誰もが未来を信じていた。 誰もが、この船が希望を運ぶものだと思っていた。 ――その中に、一人の男がいた。 彼は群衆から少し離れた場所で、完成した宇宙船を見上げていた。 そして、小さく笑った。 「……ようやく、始められる」 誰にも聞こえない声で。 男は呟いた。 「最高のゲームをな」 1 集合 「……ここが宇宙船か」 一人の男が、巨大な船を見上げていた。 名前はリク。 少し眠そうな目をしているが、どこか楽しそうな表情を浮かべている。 その隣では――。 「このカレーは辛ぇ!」 「…………」 リクは黙った。 「……どうした?」 「いや」 リクは少し考えてから言った。 「俺は好きだぞ」 「だろ!?」 満面の笑みを浮かべる男。 シャキ。 彼は、ことあるごとにダジャレを言う。 そして、ほとんどの場合、空気を読まないで言う。 「このカレーは辛ぇ!」 「シャキ」 「ん?」 「それ、今日で三回目」 「え?」 「まだ乗ってすぐなのに三回目」 「いいじゃん! 何回言っても面白いものは面白い!」 「まあ……俺は嫌いじゃないけど」 「リク~~~!」 シャキが感動したようにリクの肩を抱いた。 「お前だけだよ! 俺のダジャレを理解してくれるのは!」 「暑苦しい」 「……え?」 二人が振り返る。 そこには、一人の女性が立っていた。 ローラ。 長い耳を揺らしながら、冷たい目で二人を見ている。 「朝からうるさい」 「お、おはようございます……」 リクが苦笑する。 シャキはというと。 「おはよう! 朝だけに、あさっ――」 「言うな」 「まだ言ってない!」 「顔に書いてある」 「そんな馬鹿な!」 ローラはため息をついた。 「……今日一日、こんな感じなの?」 「たぶん」 リクが答える。 「最悪……」 「ひどい!」 そんな三人を横目に、さらに人が集まってくる。 「おーい! 遅れてないよな?」 明るい声。 秋根羽月が走ってきた。 「みんな早いね!」 「羽月、走ってきたの?」 「うん! 楽しみだったから!」 羽月は笑顔で船を見上げる。 その目は純粋な好奇心に満ちていた。 「こんな大きな船、乗るの初めてだよ!」 「俺もだな」 そう答えたのはデック艦長だった。 落ち着いた雰囲気の男。 この船に集まったメンバーの中でも、特に宇宙船に詳しい人物だった。 「構造は軍用艦に近い。だが、軍艦ではないらしい」 「へえ……」 アズールが船を眺めながら言う。 「それにしても、随分と妙なメンバーが集められたな」 「確かに」 鼠柳瓦落が腕を組む。 「俺たちに何をさせるつもりなんだ?」 その言葉に、誰も答えなかった。 実は、この場に集められた全員が、同じ疑問を抱いていた。 なぜ、自分たちなのか。 なぜ、このメンバーなのか。 そして――。 なぜ、この宇宙船なのか。 --- 「……まだ全員じゃないな」 榊木琴璃が人数を数える。 「あと数人」 「遅いなぁ」 狐塚瞑兎があくびをした。 「呼び出されたから来てやったっていうのに」 「瞑兎、そう言いながら一番楽しそうだけど」 サラが笑う。 「そう見えるか?」 「うん」 「なら、お前の目は節穴だな」 「ひどっ」 そんなやり取りをしていると――。 「……来た」 月夜林が呟いた。 全員が入り口を見る。 そこから、数人の人物が歩いてきた。 夜半推怜。 キヨ。 ミドリマ。 古炎海改徒。 そして――。 ソフィアン・カドゥール。 最後に現れたソフィアンは、周囲を一度見渡すと、何も言わずに船へと視線を向けた。 「これで全員?」 シャンが確認する。 「多分ね」 ローラが言った。 その瞬間。 船内から声が響いた。 『――全員、揃ったようだな』 スピーカー。 全員が一斉にそちらを見る。 『ようこそ』 低い男の声。 『諸君』 船内の照明が一斉に点灯した。 『この宇宙船へ』 そして。 巨大なスクリーンに、一人の男が映し出された。 黒い服。 表情の読めない顔。 そして、奇妙な笑み。 「……誰だ?」 デック艦長が警戒する。 男は笑った。 『私は、このゲームの主催者だ』 「ゲーム……?」 羽月が首を傾げる。 『そう』 主催者は楽しそうに言った。 『君たちには、これからこの船の中で――』 一拍。 『ゲームをしてもらう』 「……ゲーム?」 シャキが呟く。 主催者は続けた。 『ルールは簡単だ』 スクリーンに文字が映し出される。 ――CREWMATE。 『この船には、クルーがいる』 続いて。 ――IMPOSTOR。 『そして――クルーの中に紛れたインポスターがいる』 空気が変わった。 「……インポスター?」 リクが眉をひそめる。 『クルーの勝利条件は二つ』 スクリーンに表示される。 【全タスクの完了】 【インポスターの発見・排除】 『船内には様々なタスクが用意されている。それを全員で完了させること』 『あるいは――』 画面が暗転する。 『仲間に紛れたインポスターを見つけ出し、排除すること』 「つまり……人狼ゲーム?」 サラが呟いた。 『そうだ』 主催者は答えた。 スクリーンに、新たな文字が浮かび上がる。 【特殊役職】 「……特殊役職?」 ソフィアンが初めて口を開いた。 『科学者』 『エンジニア』 『ガーディアン』 『その他にも、様々な役職が存在する』 「ちょっと待て」 デック艦長が前へ出る。 「そんな説明だけで、誰が参加すると思っている?」 『全員だ』 「何?」 『拒否権はない』 その瞬間。 ――ガコン。 船の入り口が閉まった。 全員が振り返る。 「……!」 「閉じ込められた?」 羽月の表情が強張る。 デック艦長が扉へ駆け寄る。 「開けろ!」 ドンッ! 扉を叩く。 しかし、開かない。 「艦長!」 「下がれ!」 デック艦長は端末を操作する。 だが――。 「……駄目だ」 「え?」 「船のシステムそのものがロックされている」 「そんな……」 ミドリマが不安そうに周囲を見る。 主催者は笑っていた。 『さあ』 『ゲームを始めよう』 そして――。 スクリーンが消えた。 2 最初の違和感 「……ふざけるな!」 デック艦長が怒鳴った。 誰も返事をしない。 船内には、重苦しい沈黙が漂っていた。 「本当に始めるつもりなのか?」 アズールが言う。 「インポスターって……つまり、この中に敵がいるってことだろ?」 「そういうことになるね」 榊木琴璃が冷静に答える。 「でも、そんなのどうやって見分けるの?」 シャンが尋ねる。 「分からない」 琴璃は首を振った。 「だからこそゲームなんだろう」 「……嫌なゲーム」 キヨが小さく呟いた。 その声には、明らかな不安があった。 すると。 「まあまあ!」 シャキが手を叩いた。 「こういうときこそ、明るく行こうぜ!」 「シャキ……」 リクが心配そうに見る。 「大丈夫だって!」 シャキは笑う。 「俺たちはみんな仲間だろ?」 その言葉に。 一瞬だけ、空気が和らいだ。 「……そうだな」 瓦落が頷く。 「少なくとも、今の時点ではな」 「おい、瓦落」 「冗談だ」 「笑えないって……」 しかし。 誰も気づいていなかった。 このとき。 全員の端末に、同時に一通のメッセージが届いていたことを。 --- 【あなたの役職が決定しました】 --- 一人。 また一人。 それぞれが端末を確認する。 「……」 「……」 「……」 誰も口に出さない。 自分の役職を。 インポスターなのか。 クルーなのか。 それとも特殊役職なのか。 誰にも分からない。 誰にも言えない。 ――いや。 言ってはいけない。 そんな空気が生まれ始めていた。 3 最初のタスク 「まずはタスクをやろう」 デック艦長が言った。 「ルール通りなら、タスクを全部終わらせればゲームは終わる」 「じゃあ、さっさと終わらせよう!」 羽月が手を挙げる。 「私は電気系統のタスク!」 「俺はエンジン」 「私は医務室」 「じゃあ俺は――」 シャキが考える。 「ゴミ捨て!」 「似合ってる」 ローラが即答した。 「なんで!?」 「なんとなく」 「ひどい!」 リクが笑う。 「まあ、行こうぜ」 それぞれが散っていく。 --- 船内は、驚くほど広かった。 廊下。 倉庫。 医務室。 研究室。 通信室。 エンジンルーム。 そして中央には、巨大な食堂。 まるで一つの都市を、そのまま宇宙船に詰め込んだようだった。 羽月は一人、電気系統の端末の前に立っていた。 「これを……こう?」 カチッ。 配線を繋ぐ。 「できた!」 小さくガッツポーズ。 その瞬間。 ――パッ。 船内の照明が一度だけ点滅した。 「……?」 羽月は首を傾げる。 そして。 廊下の向こうに――。 誰かがいた。 「……?」 黒い影。 一瞬だけ見えた。 「誰?」 羽月が声をかける。 影は答えない。 そのまま角を曲がって消えていった。 「……誰だったんだろ」 羽月は端末へ戻った。 このとき彼女は知らなかった。 その人物が――。 このゲームの運命を大きく変える存在になることを。 --- 一方。 研究室。 「ふむ……」 ソフィアンは装置を眺めていた。 「これは……随分と高度だな」 「ソフィアン」 声をかけたのは夜半推怜だった。 「何?」 「あなた、何をしているの?」 「タスクだよ」 「……そう」 推怜はしばらくソフィアンを見る。 「何か?」 「いや」 彼女は目を逸らした。 「なんとなく」 「そう」 ソフィアンはそれ以上何も言わなかった。 だが。 彼の手は――。 ほんの少し震えていた。 --- 続きは下
使い方のほうを見てからこっちを見てください。 てかシャキさんに喋らせてしまって申し訳ないでっすねぇ(なら喋らせんな)サーセン 4 停電 そのとき。 船内に警報が鳴り響いた。 ――ビーッ! ――ビーッ! 赤いランプが点灯する。 『緊急事態』 機械音声が流れる。 『電力供給に異常が発生しました』 「停電!?」 キヨが叫ぶ。 「みんな、落ち着いて!」 デック艦長が通信を開く。 「各自、近くの部屋から動くな!」 だが。 通信は突然切れた。 「……?」 「艦長?」 「通信障害だ」 デック艦長が端末を見つめる。 「誰かがシステムを――」 その瞬間。 完全な暗闇。 「きゃっ!」 誰かの悲鳴。 「誰だ!?」 「動くな!」 「どこにいる!?」 声だけが響く。 足音。 一つ。 二つ。 三つ。 そして――。 何かが倒れる音。 ――ドサッ。 「……!」 全員が凍りついた。 数秒後。 照明が戻る。 「……今の音」 ローラが呟いた。 全員が顔を見合わせる。 そして。 食堂へ集まった。 「一人……足りない」 リクが言った。 「え?」 シャキが周囲を見る。 「……本当だ」 その場にいる人数を数える。 一人。 足りない。 「誰だ?」 瓦落が言う。 誰も答えない。 「待って」 サラが顔を青ざめさせた。 「……タスクに行ったはずの、キヨがいない」 「キヨ?」 羽月が言う。 「医務室に行くって言ってたよ」 「……」 デック艦長が立ち上がる。 「行くぞ」 「でも――」 「全員で行く」 一同は医務室へ向かった。 扉の前。 デック艦長がゆっくりと手を伸ばす。 「……開けるぞ」 扉が開く。 そして――。 全員が息を呑んだ。 そこには、倒れているキヨがいた。 「……!」 サラが口元を押さえる。 「キヨ……?」 返事はない。 デック艦長が駆け寄る。 「キヨ!」 しかし。 反応がない。 「……これは」 デック艦長の顔が険しくなる。 「何があったの?」 羽月が震える声で聞く。 誰も答えない。 そのとき。 ――ビーッ! 船内に大きな警報音が響いた。 『緊急会議が招集されました』 『緊急会議が招集されました』 全員の端末に表示される。 【EMERGENCY MEETING】 シャキが震える手でボタンを押した。 ――パンッ! 赤い光が点灯する。 全員が食堂へ集められた。 そして。 初めての話し合いが始まった。 --- 5 疑心 「……誰がやった?」 瓦落が口を開いた。 「まだ決まったわけじゃない」 琴璃が言う。 「でも、キヨは倒れていた」 「インポスターの仕業だろ」 アズールが言った。 「なら、誰だ?」 沈黙。 誰も答えない。 「おかしいと思わない?」 月夜林が言った。 「何が?」 「停電が起きた直後に、キヨが倒れていた」 「つまり?」 「停電を起こした人間と、キヨを襲った人間が同じとは限らない」 「……!」 全員が黙る。 「特殊役職がいるって言っていた」 月夜林は続けた。 「だったら、私たちが知らない能力がある可能性もある」 「なるほど」 ソフィアンが頷く。 「つまり、単純な容疑者探しでは駄目ということか」 「そう」 「じゃあ、誰が怪しい?」 ローラが聞く。 すると。 一人の男が手を挙げた。 「俺」 シャキだった。 「俺が怪しいと思う」 「え?」 リクが驚く。 「俺、停電が起きる直前に一人でいたんだ」 「……」 空気が変わった。 「どこに?」 デック艦長が尋ねる。 「エンジンルーム」 「誰か見ている人は?」 「いない」 「それは……」 「かなり怪しいね」 ミドリマが言った。 「ちょっと待てよ!」 シャキが慌てる。 「俺じゃない!」 「じゃあ、証明して」 「証明って……」 シャキは言葉を失った。 リクが立ち上がった。 「待ってくれ」 「リク?」 「シャキが怪しいのは分かる。でも――」 リクは全員を見る。 「俺はシャキと一緒にいた」 「え?」 「停電が起きる少し前まで、シャキと一緒だった」 「なら、なぜ一緒に行動していた?」 「ダジャレを聞いてた」 「……」 「…………」 沈黙。 「……それは証拠になるの?」 ローラが呆れた。 「ならないと思う」 リクは即答した。 「だよな」 シャキも頷いた。 その瞬間。 ――パッ。 照明がまた点滅した。 全員が天井を見る。 「……また?」 「いや」 デック艦長が端末を見る。 「今度は違う」 「何が?」 「誰かが、船内システムにアクセスしている」 全員の視線が中央スクリーンへ向く。 そこに、一文字だけ表示された。 【WARNING】 そして。 新たなメッセージ。 【第二のゲームが開始されます】 「……第二?」 誰かが呟いた。 だが。 主催者の姿は現れない。 その代わり。 船内の奥から――。 何かが動く音がした。 ガコン。 ガコン。 ガコン。 「……何の音?」 羽月が怯える。 デック艦長が立ち上がる。 「全員、ここから動くな」 「でも……」 「これは、ただの人狼ゲームじゃない」 艦長の声が低くなる。 「この船そのものが――」 その瞬間。 船が大きく揺れた。 「うわっ!」 「きゃあ!」 床が傾く。 天井の照明が割れ、火花が散る。 そして。 船内放送が流れた。 『――ゲーム開始』 『生存者、十五名』 『クルー陣営』 『インポスター陣営』 『特殊役職』 『――それぞれの役割を果たせ』 『最後に残るのは――』 一拍。 『誰だ?』 通信が切れる。 誰も動かなかった。 ただ一人。 ソフィアンだけが。 暗闇の中で、静かに笑っていた。 --- 6 それぞれの秘密 ゲームが始まってから三十分。 誰も口を開かなかった。 誰も信用できない。 仲間だと思っていた相手が、敵かもしれない。 そして。 敵だと思っていた相手が、本当は仲間かもしれない。 疑念だけが膨らんでいく。 ローラは一人、通信室にいた。 「……誰も信用できない」 彼女は端末を操作する。 すると。 奇妙なデータを発見した。 「……何これ?」 船内記録。 そこには、この船の建造記録が残されていた。 しかし。 日付がおかしい。 宇宙船が完成したのは、今日ではない。 記録上では――。 数年前。 「……完成していた?」 ローラは眉をひそめる。 その瞬間。 背後から声。 「何を見ている?」 「――!」 ローラが振り返る。 そこにいたのは――。 主催者だった。 「……!」 「驚いたか?」 「あなた……!」 ローラが距離を取る。 「どうやってここに?」 主催者は笑う。 「私はどこにでもいる」 「……何を企んでいるの?」 「企む?」 男は首を傾げる。 「これはゲームだよ」 「キヨが倒れた」 「そうだな」 「人が傷ついている」 「そうだな」 「それをゲームって言うの?」 主催者は答えない。 ただ、ローラを見つめていた。 「君は知りたいか?」 「何を?」 「なぜ君たちが選ばれたのか」 ローラの目が見開かれる。 「……何?」 「なら――」 主催者は指を一本立てた。 「最後まで生き残れ」 「そうすれば、すべて教えてやる」 次の瞬間。 通信が切れた。 主催者の姿も消えていた。 ローラは一人、震える手で端末を握る。 そして気づく。 端末に、見覚えのない一文が表示されていた。 【あなたは、このゲームの参加者ではない】 「……え?」 その下に。 もう一文。 【あなたは――観測対象である】 ローラの顔から、血の気が引いた。 --- 一方。 医務室。 倒れていたキヨは、まだ目を覚まさない。 その隣には夜半推怜がいた。 「……ねえ」 キヨの手を握る。 「お願いだから、起きて」 反応はない。 推怜は俯いた。 「どうして……」 そのとき。 医療端末が音を鳴らした。 【生命反応:正常】 「……え?」 推怜が画面を見る。 「正常?」 キヨは倒れている。 だが。 生命反応は正常。 それどころか。 異常なほど安定している。 「……これ」 推怜は気づいた。 「キヨは――」 その瞬間。 キヨの指が動いた。 「……!」 そして。 ゆっくりと目を開ける。 「……ここ……どこ?」 「キヨ!」 推怜が駆け寄る。 「大丈夫!?」 「……うん」 キヨは辺りを見回した。 「私……何してたの?」 「あなた、倒れてたの」 「え……?」 キヨは不思議そうな顔をする。 そして。 自分の手を見た。 「……あれ?」 手の甲に。 見たことのないマークが刻まれていた。 「これ……何?」 推怜は答えられなかった。 なぜなら。 そのマークは。 主催者が表示した特殊役職の一覧には――。 存在しなかったからだ。 --- そして。 船のどこか。 誰もいない部屋で。 一人の人物が端末を見ていた。 画面には。 【KILL】 という文字。 その人物は、それを消す。 そして呟いた。 「……まだ早い」 「今は、殺す必要はない」 その目は。 冷たかった。 「このゲームの本当の目的を知るまでは――」 そして。 「誰も死なせない」 その人物は。 静かに歩き出した。 --- 7 十五人の駒 ゲーム開始から一時間。 十五人は、それぞれ違う場所にいた。 シャキはエンジンルーム。 「……タスク多すぎだろ」 リクはその隣。 「頑張れ」 「お前もやれよ!」 「俺はもう終わった」 「早すぎ!」 ローラは通信室。 羽月は電気室。 デック艦長は操縦室。 アズールは倉庫。 瓦落は研究室。 月夜林は医務室。 狐塚瞑兎は食堂。 サラは管理室。 古炎海改徒はエンジンルーム。 ソフィアンは――。 一人。 誰もいない廊下を歩いていた。 「……」 彼は立ち止まる。 「ここか」 壁に手を当てる。 すると。 ――カチッ。 隠し扉が開いた。 「やはり」 中には大量のモニター。 船内のすべてが映っている。 誰がどこにいるか。 何をしているか。 誰と話しているか。 すべて。 ソフィアンはモニターを眺める。 「十五人」 「そして――」 そのうちの一つを拡大する。 映っていたのは。 主催者。 「……あなたも、このゲームの参加者なのか?」 ソフィアンは呟いた。 すると。 背後から声がした。 「違う」 「――!」 振り返る。 そこには。 誰もいない。 ただ。 モニターの一つに文字が表示されていた。 【PLAYER 0】 「……」 ソフィアンは目を細めた。 「プレイヤーゼロ?」 画面が切り替わる。 【GAME MASTER】 「……主催者」 ソフィアンが呟く。 その瞬間。 船内全体に警報が鳴り響いた。 ――ビーッ! ――ビーッ! 【DEAD BODY REPORTED】 全員の端末に表示された。 そして。 次の瞬間。 別のメッセージが表示される。 【犠牲者:???】 名前が表示されない。 「……え?」 羽月が呟く。 「誰が……?」 そして。 最後の一文。 【死体は存在しない】 「…………」 誰も言葉を発しなかった。 この瞬間。 全員が理解した。 このゲームは。 もう――。 普通の人狼ゲームではない。 何かが。 何者かが。 このゲームのルールそのものを変えている。 そして。 宇宙船はゆっくりと――。 未知の宙域へ向かって進み始めていた。 まだ続きアルヨ!!! https://scratch.mit.edu/projects/1381728700