呆れかえる程に平和であったエースターライヒ帝国。 先代の皇帝、あるいは国王...そして公爵であったシルフィーユ女帝の時代に為された改革は帝国にさらなる発展をもたらすこととなったのだ。 しかし、平和はいずれ崩れゆくもの。その時は近づいていた。 ━━首都ハプスブルク、ルドルフィーネ宮殿, 今日も現女帝たるヴィヴィ様は机と同化したかと疑うほどに朝から正午の今まで付きっきりであった。 先代による地方分権改革に関する書類や宗教関連の書類、財政に関する書類など、職務内容は多岐にわたった。 ヴィヴィ「...一旦...休憩ですわ...。」 座り続けて痛みを覚える尻を少し抑えながら立ち上がった。少しふらつきを覚えたのち、自らの為に茶を淹れる。ドナウ公国にて栽培される麦を使った麦茶だ。 ヴィヴィ「...ふぅ。」 薪をくべ、湯を沸かす。その間は近くのソファに倒れこむ。流れる銀色の髪はまるで水銀のように美しかった。 ヴィヴィ「...少々、激務が過ぎますわ...」 誰にも届かず虚空に消える独り言。意味はないと分かっている。 ふと、窓から城下町を覗いた。いつ見ても美しい、ハプスブルクの城下町だ。 んっと声を漏らしながら体を持ち上げ、沸騰した湯で麦茶を淹れる。 冷えた金属を入れて気休め程度に冷ましてから飲む。とても熱いが、これでよい。 流れる城下町の臣民は汗を流しながら働いている。 ヴィヴィ「...皆、頑張っているのですものね。」 まだ熱の残るティーカップを置き、一息着いてから立ち上がろうとした。 ...あれは何か。豪華な服に身を包んだ青年が城をめがけて走ってきている。あれは...確か北方の騎士団国との国交締結のために向かわせた者...。 嫌な予感がした。 数刻後、ノックが響く。 青年「女帝陛下!お開けください!」 皇室の戸を開けると、そこには髪が乱れた青年。 息をあげながら、しかし顔を青くしながらそこにいた。 青年「申し上げます!北方の騎士団国より情報を得ました! 謎の死を遂げる祟りが、東方の地より迫っています!」 ヴィヴィ「なっ...なんですと!?」 青年は続けた。 青年「その祟りは病気をもたらし、高熱と頭痛、そして倦怠感を受けたのち死亡する模様です!」 ヴィヴィ「...本当...?」 青年は何も言わなかった。言う必要がなかったから。 その後、病の噂は宮殿中に広がった。 ━━会議室 重役はあらかた詰め込まれた。女帝、男王、すべての大臣、騎士団国へ向かった使節団の生存者、その他もろもろ。 ヴィヴィ「...つまり、不衛生な地域では特に多くみられるのですわね。」 頷く青年。悩む首脳。 大臣「...女帝陛下、宜しいか。」 ヴィヴィ「...えぇ。」 口を開く。 大臣「残酷な話にはなられるが、臣民の命は替えが利く。かといって雑に扱っていいわけではないが。」 ヴィヴィ「...分かっていますわ。続けなさい。」 大臣「...して。 臣民のように替えの効かないものがある。それが...ハプスブルク家の血だ。」 ヴィヴィは紅い目を細め、そっぽを向いた。 申し訳がないのだろう。臣民を殺してまでつなぐ程の価値はあるのだろうか。 大臣「臣民への対応は諸邦へ"各地の衛生環境の改善"と"外出の自粛の努力義務の発布"を呼びかけるのがよいであろう。」 ヴィヴィ「...それくらいわたくしも分かっていますわ。...続きがあるのでしょう?話してもらってよろしくて?」 大臣は足を組み直し、ヴィヴィをねめまわしてから再び口を開いた。 大臣「幾ら臣民が死のうともいずれ元に戻る。しかし、ハプスブルク家の血は陛下が死ねばほぼ絶える。その上、謎の祟りによる死からの次の女帝...陛下の妹たるヴィオレイア様などが即位すれば臣民の混乱は増すばかり。 大臣「混乱に混乱が重なり、更に女帝も跡継ぎを残さず死ねば...エースターライヒ帝国は瓦解する。そう言い切れる。」 大臣「血を絶やさぬために、つまり臣民の混乱の種を潰すために...」 大臣「女帝陛下は、今夜より毎晩夜伽すべしと思う。」 ヴィヴィ「なっ...!?」 ペンキのバケツを倒したように顔が真っ赤に染まるヴィヴィ。夫たるハインリヒ男王も同じような反応をする。何も言わないが。 ヴィヴィ「...そんなっ...そんなのぉ...えと...わたくしは...恥ずかしいですわ..。」 大臣「しかし、女帝陛下。子を孕む術は夜伽以外に知られていない。そしていつで身籠ることができるわけでもない。それどころかメカニズムすらわからない。なら、試行回数を増やすしかないであろう?」 ヴィヴィ「...でも...。」 大臣「女帝様。血が途絶える...つまり、女帝様が死ねばエースターライヒ帝国は崩壊する、そうわからない筈がないであろう。」 遮るように言い放つ。 ヴィヴィ「...わかりましたわ。」 それから少し会議をしてから解散となった。 ヴィヴィは皇室に戻り、ベッドに倒れた。枕に顔をうずめ、バタバタと脚をベッドに叩きつける。 ハインリヒ。幼い頃からずっと隣に居た男。幼馴染であり、夫である男。 何度か行為もしたことはあるが、感情の伴わない行為は初めてだ。 ヴィヴィ「...むぅ...。」 そして、そのまま時は過ぎた。 夜。ヴィヴィが向かうは夫婦室、夜伽の為の部屋だ。 そっとドアを開けるヴィヴィ。ベッドの上のハインリヒの隣に座る。 ヴィヴィ「...。」 肩にもたれかかり暫くそのままでいた。 ヴィヴィ「...怖いですわ。」 呟く。 ヴィヴィ「...血筋の為、と言われても、想いもなくあなたと身を重ねるなんて...なにか、怖いですわ。」 ハインリヒ「...怖い?」 ヴィヴィは何も言わなかった。通じたから。 きゅっとハインリヒの腕を抱きしめる。 ヴィヴィ「...でも。」 口を開く。その声は少し震えていた。 ヴィヴィ「でも...ハプスブルクの為に、国の為に、わたくし、やりますわ。」 少し間をおいてから、ハインリヒが口を開く。 ハインリヒ「...君らしい。」 ヴィヴィはふっと息を吐き、そのままベッドに身を倒す。転がって中央に移動してから、ハインリヒへ手を伸ばす。 ヴィヴィ「手を...先ず手を繋いでくださいまし。」 ハインリヒが手を取る。冷えたヴィヴィの手は不安からだろうか。 そのままハインリヒの顔がヴィヴィに近づき、優しい口付けをする。 ヴィヴィ「んっ...。」 紙を擦るようなキスは直ぐに終わり、ヴィヴィはせがむようにハインリヒの背中に手を回し、引き寄せる。 そして、そのままにキスをした。先程と打って変わってむさぼるように情熱的なキス。 ヴィヴィ「んんっ...ちゅ...んむぅ...」 先より長く続く接吻は遂に終わり、唇が離れた。 二人の間に掛かった銀の橋はヴィヴィがペロリと舐めて崩れて消えた。 ヴィヴィ「...早く...脱がして...」 恥じらいと欲望の混じった顔で、目を合わせずに言う。ハインリヒは何を言うでもなくゆっくりとヴィヴィの服を脱がす。 豊満な乳房は左右に流れ、薄桃色の大きな円の中に小豆のように小さな突起がぷっくりと勃っていた。 ヴィヴィ「...じろじろ見てないで...早く触って欲しいですわ...。」 しかし隠すこともにげることもせずに、ジっと待つ。 ハインリヒはその周りをさする。 ヴィヴィ「やっ...焦らさないでくださいまし...」 小豆をかする度に腰がビクッと震える。然し決定的な快感には届かず、いまひとつであった。 ヴィヴィ「なんでっ...なんで触ってくれませんの...?んっ...ぅ...」 目にうるうると涙が浮かぶ、少し悔しい気分。 その時、不意にハインリヒが小豆をつまんだ。とても軽くであったが、急な刺激と焦らされていたことが合わさり... ヴィヴィ「ひゃうんっ!?♡」 ひときわ強く腰がビクンと震え、目を見開いた。涙が勢いに乗って飛び出て流れた。 ヴィヴィ「ず、ずるいですわ!急に触るなんて!」 がばりと体を起こして言った。 ハインリヒ「...触って欲しいって言ったのは誰?」 ヴィヴィ「っ...そ、それはぁ...その...」 そのままゆっくりと体を倒した。 ヴィヴィ「...あなたも...脱いで、あなたの体...見せて...」 目を揺らしながら言う。自分ばかり恥ずかしいのだ。 ハインリヒ「...ん。」 ゆっくりと脱ぐ。やはり綺麗だ、と、ヴィヴィは思う。逞しい腹筋の線を指でなぞる。 ヴィヴィ「かたい...やっぱすごい...」 えへっと、少女のような笑いを漏らした。 そして、股を開き、銀の陰毛を退かして指で秘裂を広げた。その上にはぷっくりと腫れた実がハインリヒを待ち望むようにそこにあった。 ヴィヴィ「...早く挿れてくださいまし...この格好は、とっても恥ずかしいものですのよ...。」 その言葉を聞いたハインリヒはコクリとうなずいてからヴィヴィの脚を摑む。それによりヴィヴィはあっと吐息のような声を漏らし、その瞬間を待ち望むようにハインリヒを見つめた。 ハインリヒ「...挿れるね。」 何の返答を待つもなく、ゆっくりと秘裂を竿が押し広げていく。 少しの痛みと繋がるという幸福感、そして快感がヴィヴィの頭を包み込んだ。 ヴィヴィ「やぁっ...あああっ...!♡」 ゆっくりであるがしかし確実に中へ侵入してくる。進むごとにハインリヒも吐息を漏らす。 ヴィヴィ「ああっ...深い...深いですわ...っ♡」 快楽に顔をゆがめ、顔を赤く染め、そして微笑を浮かべながらハインリヒを受け止め続ける。 そして、竿が奥に届いた。ヴィヴィは顔を少し浮かばせ、顎をあげて少し息を吐いた。 ヴィヴィ「全部...んっ♡入ってますわ...ぁっ♡」 そして手を伸ばして。 ヴィヴィ「抱きしめてくださいまし...ぃっ♡」 ハインリヒがそれに応え、ヴィヴィの肩甲骨ほどの場所に腕を回して抱きしめる。 ハインリヒの体が近づいたことにより、竿が奥をぐっと押した。その感覚にヴィヴィは顔をゆがめる。勿論、快楽によって。 ヴィヴィ「あうぅっ♡おなかが押されてるっ♡」 もっと腕でハインリヒを引き寄せ、ぎゅっと抱く。 二人の体温が混ざり合い、一つのモノのようになっていた。 ハインリヒが腰を上げてゆっくりと引き抜き始める。壁の擦れる感覚と喪失感がまた快楽を呼ぶ。ヴィヴィの腰は快楽を求めてか、それとも竿にひきつけられてかゆっくりと、少しだけ上がっていた。 ヴィヴィ「んぅぅ...♡」 うっとりとした瞳でハインリヒを見つめる。 波が行き来するかのように、ハインリヒの腰はまた下がり、ヴィヴィの中を同じように圧迫し始めていた。 ヴィヴィ「あぅぅぅぅぅぅ...♡」 息を吐くような喘ぎを漏らして此方も先程と同じく受け止める。 そして、潮の満ち引きは激しさを増す。 ゆっくりであった腰振りは次第に速度を上げ始め、それに呼応して喘ぐ声も増えてゆく。 やがて喘ぎの伸びはなくなり、細かく切り落とされるように変わっていった。 ヴィヴィ「あっ...んんっ...んぅっ...んっはぁっ...!♡」 恍惚とした表情で、性に蕩けた瞳で、心酔しきった腕で、それら全てでハインリヒを近くへ引き寄せ、しかし腰の邪魔をしなかった。 ヴィヴィ「もっとぉ...っ♡もっとぉっ!♡」 ハインリヒも息が上がってきている。そして腰の動きも最高到達地点へ。 ヴィヴィ「ああっ!♡はぁぁっ!♡ああんんっ!♡」 最早息継ぎすらままならない程の喘ぎをあげる。それと連動しているかのように豊満な胸が首元からヘソに移動を続けている。 ハインリヒ「っ...んっ...ヴィヴィっ...出すよ...っ!!」 ヴィヴィ「えぇっ!♡出してっ!!♡全部中にっ!!♡」 そして、それから数秒後、ハインリヒの腰が最奥で止まる。 ヴィヴィ「んほぉぉぉぉっ!!♡♡♡」 顔をのけぞらせ、今日一番の喘ぎ声をあげる。ハインリヒがゆっくりとヴィヴィの体へ倒れる。息の上がった二人が密着し、2分ほどそのままでいた。
そして、ヴィヴィが口を開く。 ヴィヴィ「...とっても...気持ちよかったですわ...♡」 ハインリヒを抱きしめる ヴィヴィ「おなか...とっても温かいですわよ...。」 ハインリヒは何も言わないままにヴィヴィに軽い口付けをする。 ヴィヴィ「...えへへ。」 そして、そのまま抱き合ったまま、夜を過ごした。 ...そして数か月後。季節が1つ2つ程巡った頃であった。 毎晩続いた夜伽により、ヴィヴィはめでたく懐妊した。腹はそこそこ張っており、動きにくそうだ。しかし、その表情に不満は全くなく、寧ろ適当な理由で男王室に入って甘えられると喜んですらいる。なにより、ハインリヒの子を、愛しき者の子を身籠ることが出来て幸せなのだ。 今は宮殿の中庭のベンチにてハインリヒの膝を枕に横になっている。 ...未だに祟り━━つまりペスト━━の被害は止むことを知らず、死者も増え続けている。しかし、この中庭には確かに幸せがあった。 ━━━fin.