ープロローグ せみの声が聞こえてくる。 やたらと蒸し暑い、夏。 青春要素なんて1ミリもなかった、夏。 「奏斗!!」 今は、青春真っ只中だけどな。 俺の彼女、蜜花。 名前の通り密のように甘い声と、バランスの良い顔立ちが特徴の俺の彼女。 人付き合いが苦手で、大嫌いだった俺に、一筋の光をくれた。 ー第一章 この暑い夏とはた対極的な凍えてしまいそうな冬。 俺はどこにでもいる彼女なし、友達なしの高校生だった。 休み時間は、とにかく敵。誰に話しかけられるかもわからない。だから俺は、集中して本を読んでいるふりをすることに決めていたんだ。 「その本、面白い?」 上から声がふってくる。もちろん、気になったから聞いてみた、ではない。馬鹿にして、あざけ笑うようなそんな声。 「まあまあ。」 いつも通り、無難な答えを返す。誰かなんて気にならない。全員が俺を馬鹿にしているから。誰だって構わない。 「え?面白く、ないの?私それ、読んだことあるけど、面白かったよ?」 急にふってきた甘い声。俺はとっさにとっさに顔を上げる。 名前も知らない、女子。クラスメイトの名前なんか誰一人として覚えていないから当然なんだけど。 ただ、一軍の陽キャ女子だって言うことはわかる。 「だから何だよ」 「え、、、」 ショックを受けた!!みたいなあからさまな表情。 一番キライなタイプだ。だが、敵にまわすのも良くない。 「ごめん」 それだけ言って席を立つ。 「ほら蜜花。どうしたの?」 蜜花、、、髙橋さんか。 その時は、気にもとめなかった。 だって大して仲良くもない。 俺が持っている高橋さんの情報といえば、一軍女子だということと、大学受験組だということのみ。 この学校は付属校だからそとの大学をを受験しないものもいるが、するものもいる。俺は、する。そして、高橋さんもする。だが、するものは、他にもいっぱいいる。 ちなみに俺は、T大を目指している。勉強だけはできるのだ。 ー第二章 放課後、俺は屋上に呼び出された。 誰が、なんの目的で呼んだのかもわからない状況。 自然と恐怖が湧き上がる。 まず、告白はありえない。 ということはおそらくいじめだ。 カン、カン 屋上までの階段は、古い。 キイイイイイ 屋上のドアも、古い。 開けた先には、高橋さんがいた。 「俺を呼び出したの、あなたですか。」 「はい。噂で聞いたんだけど、もしかして君、、T大受験するの?」 隠すこともない。噂の出所は気になるが。 「そうですが」 「じゃ、じゃあさ?セッサタクマしていかない?、、、かな。」 切磋琢磨を言い慣れていないのだろう。カタコトだ。 「いいけど」 「やった!」 その後のしばらくの沈黙。それは、俺が感じたことなない和やかな沈黙だった。 「奏斗くん!同じ学部だったの!?」 「え。そうなのか。」 「ラッキー!!」 「なにがだよ。蜜花って、変なとこあるよな。」 「ええー?どこがー?」 お互い、下の名前で呼び合っていた。いつからだったか、もう思い出せない。 「また、屋上かよ」 この大学の屋上は、きれいだ。 まただ。高橋さん、いや、蜜花がいる。 「好きだよ」 この四文字はどうして人をこんなにも舞い上がらせるのだろう。 「ああ、俺も好きだ。」 いつからだろう。こんなに素直に感情を表現できるようになったのは。 「ありがとう。蜜花」 「ふえええええ?いきなりなによ。奏斗も十分すぎるくらい変なとこあるよ。」 俺は恥ずかしくて目を伏せる。蜜花は俺の顔を除き見る。 幸せだ。
今回は!2年ちょっと前に公開した空君のリメイク版です。色々省いて修正してます!! お詫び 奏斗のキャラが変わってしまいました。奏斗が好きだった方々(いたら)すみません! 歴史✨️ 2026 9,12 公開