SCP-83187 Tale / 遠く先からのmp_ https://scratch.mit.edu/projects/1376741046
財団日本支部 臨時報告書 アイテム番号: SCP-83187/夏休みに遭ったあの娘 オブジェクトクラス: Keter ➡ Euclid(再分類) 特別収容プロトコル: SCP-83187の実体を物理的に隔離・収容することは 現状不可能です。財団は、毎年7月下旬から8月21日に かけて、日本国内の全学区を対象に 「収容プロトコル・コード:『陽炎』」を実行し、 対象年齢(小中学生)の単独外出を 極力抑制してください。 * カバーストーリーの流布: メディアおよび教育機関を通じて、 小中学生に対し「深刻な熱中症予防」を名目とした 不要不急の外出を避ける全国的な運動を呼びかけます。 * 感覚修飾剤の空中散布(ケムトレイル) : 気温の低い涼しい地域、あるいは冷夏の 地域においては、上記カバーストーリーの説得力を 補強するため、定期民間機および財団偽装航空機を 用いた空中散布を行います。 散布される薬剤(化学物質「高熱体感剤-831」)は、 実際の気温を上昇させることなく、曝露した人間の 知覚・皮膚感覚のみを「異常な猛暑」と誤認させる 特性を持ちます。これにより、国内全域の 対象年齢児童に「屋外は生命の危険がある暑さである」 という認識を植え付け、屋内退避を促します。 * 年長者の常時同伴: やむを得ず外出する際は、 いかなる短時間であっても必ず 「高校生以降(15〜16歳以上)」の家族、または大人の 保護者を同行させ、常に視界に留まることを 徹底させてください。 ※注意:「中学生以下の兄弟姉妹・友人」との同伴は 防衛策として完全に無効であり、 SCP-83187の接近を阻止できません。 発見当初は有効な防衛策が不明であったため オブジェクトクラスはKeterに指定されていましたが、 上記プロトコルの確立に伴い、 現在はEuclidへ再分類されています。 説明: SCP-83187は、毎年8月1日から8月31日の期間に かけて、日本全国に複数体出現する人型実体です。 外見は10代前半の、髪にひまわりの髪飾りをつけた 少女の姿をしています。 SCP-83187は出現後、その地点から最も近くにいる 「高校生以上の目が届いていない、 一人(あるいは中学生以下の子供同士)でいる 小中学生(以下、対象者)」に自ら接近し、 接触を図ります。実体は極めて友好的かつ魅力的な 人格として振る舞い、夏休みの期間を通じて 対象者と深い交友関係(友人、あるいは恋愛関係など) を構築します。この期間中、 対象者がSCP-83187と遭遇・密会する確率は 異常に上昇します。 SCP-83187は強力な「反ミーム(認知阻害)特性」を 有しています。対象者が家族や友人などの第三者に SCP-83187の存在を説明しようとしても、 言葉が詰まる、別の話題にすり替わる等の妨害が 発生し、実体の存在を他人に伝えることは不可能です。 これにより、周囲の人間は対象者が 「一人で不自然な行動を繰り返している」ように しか認識できません。 【異常特性の活性化(8月31日)および外見の変化】 夏休みの最終日(8月31日)の24:00を迎えた瞬間、 SCP-83187の空間転送特性が活性化します。 関係を構築した対象者は、SCP-83187の手によって 以下のいずれかの「異常な時間軸」へと強制的に 転送され、現実世界から完全に消失します。 * パターンA(8月32日以降への進行): 現実の地球と同一の構造を持つが、 SCP-83187と対象者以外の全人類・生物が消失した 並行空間。時間は停止せず、「8月32日」「8月33日」と、 現実には存在しない日付のままカレンダーが 進行し続ける。 * パターンB(8月1日のループ): 対象者の記憶を 保持したまま、時間が強制的に「その年の8月1日」へと 巻き戻る現象。対象者はSCP-83187と共に 永遠に終わらない夏休みを繰り返すことになる。 この別世界への転送が発生する瞬間に限り、 SCP-83187の両目から本人から分泌された 本物の人間の涙が流出し始めます。 補遺: 実験記録 財団はSCP-83187の特性を解明するため、 小中学生の年齢のDクラス職員を対象とした 実験を行いました。 実験記録-1 * 対象: D-37834 * 実施期間: 8月1日〜8月21日 * 実験内容: D-37834に強力なクラスW/X対ミーム薬を 定期投与し、隔離された実験室内で単独滞在させ、 SCP-83187と接触させる。 * 実験結果: 対ミーム薬の効果により、 D-37834はSCP-83187の認知阻害を無効化。 実体の容姿、会話内容を完全に記憶した。 実験記録-2 * 対象: D-37834 * 実施日: 8月31日 23:50 〜 9月1日 01:00 * 実験結果: 8月31日24:00を迎えた瞬間、 実験室内のD-37834は消失。直後、カレンダーの数字が 「8月32日」へと異常に変異している静止画が サーバーに転送された。D-37834が 「カメラに映らない、目の前にいるのに映らない」と パニック状態で叫んでいる映像が残されていたが、 この段階では実体の視覚的捕捉には失敗している。 * GPSデータについて: D-37834が装着していたGPSは、 消失後もXYZの三次元座標を発信し続けている。 しかし、発信源として示された「現実空間の座標」を 財団が調査したところ、 そこには物理的な物質・生命体は 何も存在していなかった。 実験記録-3〜6(統合ログ) その後の実験において、対象者が「パターンB」に 突入した例が複数確認された。 * 実験結果: 8月31日24:00の消失直後、 機器から転送された映像には「8月1日」を 指すカレンダーが映し出されていた。 転送された映像の末尾数秒間には、 完全に緊張感を失ったD職員が、SCP-83187のものと 推測される少女の声と共に、 極めて楽しげに会話を 交わしている音声が混入していた。 実験記録-7 * 対象: D-41209(写実絵画の技術を持つDクラス職員) * 実施期間: 8月5日〜8月15日 * 実験内容: D-41209に強力な記憶補強剤を投与し、 SCP-83187との接触・交友関係を構築させる。 その後、D-41209が活性化(8月31日)によって 消失する前に、自身が目撃したSCP-83187の正確な 容姿をキャンバスへ描画するよう指示した。 * 実験結果: D-41209は、夏休み期間中の記憶を頼りに 1枚の絵画を完成させた。そこには、 髪にひまわりの髪飾りをつけ、 両目から大粒の涙を流しながらも、 こちらに向かって満面の笑みを浮かべている 少女の姿が描かれていた。 * 分析: D-41209は 「彼女と本当に離れたくないと願った瞬間に、 彼女が泣きながら笑うビジョンが見えた」と供述。 記憶補強剤によって、転送時にしか現れないはずの 「涙を流す真の姿」を事前に脳内へ定着させ、 アナログ絵画として出力することに成功した。 (※本報告書の冒頭に添付されている画像データは、 この絵画をスキャンしたものである) 実験記録-8(最終実験) * 対象: D-41209 * 実施日: 8月31日 23:55 〜 9月1日 00:05 * 実験内容: 記憶補強剤の定着が確認されている D-41209にデジタルカメラを携行させ、 実験室内で8月31日の24:00を経過させる。 * 実験結果: 24:00の瞬間、D-41209は実験室から消失。 しかし、その直後に財団サーバーへ1枚の 画像データが自動送信された。 激しいノイズの隙間から、別世界(消失直後)の 空間において、両目から大粒の涙を流しながら、 心の底から嬉しそうに喜び、 満面の笑みを浮かべるSCP-83187の姿が 鮮明に記録されていた。 * 分析: 転送が行われ、「別世界」に突入したことで、 実体が涙を流す条件が完全に成立。 記憶補強剤の効果と合わさることで、 ついに財団は「泣きながら喜ぶ彼女の本来の姿」を デジタルデータとして焼き付けることに成功した。 実験報告書(総括) 以上の実験結果から、SCP-83187は対象者を 現実世界から完全に切り離された「別次元、または 隔離された並行世界」へと 強制的に拉致する性質を持つ。 実体の真の目的は対象者の殺害や直接的な 加害ではなく、拉致した対象者を自身が管理する 時間軸(終わらない8月)に幽閉し、 半永久的にSCP-83187と二人きりでの生活を 営み続けることにあると推測される。