私には探している人がいる。 今日もその人を探し雑踏の中を歩く。 日没直前、空と街の緋に溶けて見えなくなるような真紅の長い髪、そこからは想像もつかないようなどこまでも深く、見る人を引き込むような深蒼の瞳。 そんな夕焼けの中、今日も家へと帰る。 「はあー、今日も見つからずじまいかぁ。まあ、1ヶ月探し続けて見当たらないってことは、この周辺にはいないのかなぁ。」 「俺は確実にそうだと考えるけどな。きょうの探索ルートだって2回前のルートと酷似しているんだからな。次はもっと首都圏から離れたところを、」 「あー!うるさいうるさい聞こえない聞こえない。でもなぁ。やっぱりこのあたりにいるとは思うんだけど。」 「もしまたこの辺りを探すのであれば、明日くらいは俺にルートを任せてくれないか?付き合わされてる身のことも考えてみろ。こんなにも非効率なルートを探索す流のは嫌気がさす。」 「うるさいなぁー。じゃあ明日だけね。そしたらもう文句言わずに私についてくる、それでいいね?」 「明日だけでなく定期的にルートの提案ができると嬉しいんだがな。」 「そういえばあんたはなんでそんなに話し方が事務的なの?」 「さあな。これが俺の話し方だ。それを言ったらお前にこれに似た質問を返すことができる。可凪虎、お前はなぜそこまでも、いや、やめておこう。」 「んー?なに、どうせいつも通り答えないと思ったの?まあ、その通りではあるけどもね。」 私は日本の首都、亰湾都の中でも最も人口密度の高い、湾奥区にある兄の家に住んでいる。兄の麟太郎は大学生なので、経済的余裕は大きくないはずだがそれでも文句しか言わない私を文句なしに住まわせて、ついでに言えば人探しも手伝ってくれる。持つべきは兄だ。 「じゃあ可凪虎、残りの家事頼んだ。」 まあ、こういう時のお約束なのかなんだかわからないが、家事系統全般が絶望的に下手くそである。ので、私が全て代わりにやっている。チッこっちだって現役女子高生なんだよっ!家事なんてやってられるか! まあ、麟兄がお金を稼いできてくれているから文句は言えないけれど。 「じゃあ、行ってきます。」 「おう、行ってらっしゃい。」 朝、家を出て最寄りの地下鉄駅へ。7時43分到着の右回りに乗り込み、2号車の最も後部扉に近い席へ。カバンからスマホを取り出して純正のイヤホンを耳につけ、曲を再生。 「やっぱノイズキャンセリング付きのイヤホンにするべきかなぁ。でもそれだとバッテリー管理が必要になるな。もういっそのことウォークマンでも買うとか?」 今時そんなものを持っている女子高生などいるんだろうか、と考えつつもお小遣いの範囲内で出せる予算を計算するが、買えるのならとっくに買っている。今回の件も何回目かわからない。 そうこうしているうちに8時12分、学校最寄り駅へ到着。徒歩約4分で学校へ。もちろんこの通学時間も人探しにはちょうどいい。だがもちろん今日も見つからない。 ガララララ、戸の開く音。嫌いではないがもう少し静かにならないのか。 今日も探し人の見つからないただの1日が始まる。
長編小説 亡霊 作 はる 表紙画 はる 次話→ https://scratch.mit.edu/projects/1381775406/ 前話→ https://scratch.mit.edu/projects/1369741838/ あとがき 歴史的快挙です。僕が、2話目まで書き切りました。さあ、3話は出るのでしょうか。出るといいですね。書きたい話はまだまだたくさんあります。ちなみに僕の学校はテスト期間ですね。僕は今日を跨いだあたりでこの後書を書いています。はよ寝ろよ。お前ただでさえ睡眠時間多く取らないといけないんだから。 と、自分を久々に罵倒しまして、これをここまで読んでくれた人は一体どれほどいるのだろうか。お、それがあなたか。 と言うことで今日はここで畳むとしましょう。 ん?いきなり違う人が出てきた?硝子はどこいった?さあ?僕にはわかりかねますね。 H38/09/17