主人公:白石 蒼空(しらいし そら) ヒロイン:月島 心春(つきしま こはる) 蒼空の幼馴染で大親友:黒川 蓮(くろかわ れん) 心春の幼馴染で大親友:水瀬 莉子(みなせ りこ) ※サムネ雨の日バージョン ※2ヶ月ぐらい書けてなかった ※感想はコメント欄によろしく〜
第6話「雨の日の教室」 月曜日の朝。 空はどんよりと曇っていた。 「絶対降るな、これ」 蓮が窓の外を見ながら言う。 「朝の天気予報でも言ってた」 蒼空は席に座りながら答えた。 一時間目が始まるころには、ぽつぽつと雨が降り始めていた。 昼休みになるころには、校舎の窓を叩く雨音がはっきり聞こえる。 「うわー、帰るころやばそう」 莉子がため息をつく。 「傘持ってきた?」 心春が聞く。 「……忘れた」 「また?」 「朝は降ってなかったんだもん!」 呆れたように蓮が笑う。 「お前、天気予報見ろよ」 「蓮は?」 「俺はある」 「ちぇー」 そんなやりとりを聞きながら、蒼空は自分のカバンを確認した。 折りたたみ傘。 一応入っている。 ――――― 放課後。 雨はさらに強くなっていた。 窓の外は白っぽく煙って見える。 「これ、しばらく止まなそうだな」 蓮が言う。 「どうしよ……」 莉子は困った顔をした。 「私の傘、大きめだから一緒に帰れるよ」 心春がやさしく言う。 「ほんと!?助かる!」 「よかった」 その横で、蓮が蒼空を見る。 「じゃあ俺らも一緒に帰るか」 「別にいいけど」 4人は昇降口へ向かった。 外に出ると、雨の音が一気に大きくなる。 心春と莉子は一本の傘。 蒼空と蓮はそれぞれ自分の傘を開いた。 「ねえ蒼空」 歩きながら蓮が小声で言う。 「ん?」 「なんか最近、月島と話すの増えたよな」 「普通だろ」 「普通ねぇ」 ニヤニヤした顔に、蒼空は軽くため息をついた。 そのとき。 前を歩いていた莉子が振り返る。 「あっ、ちょっと待って!」 「どうした?」 「水たまり!」 莉子が避けようとしてバランスを崩しかける。 「わっ!」 「危なっ」 心春がとっさに腕をつかんで支えた。 「もう、気をつけて」 「ごめんごめん!」 二人のやりとりに、思わず蒼空も少し笑ってしまう。 すると心春がその笑顔に気づいた。 「蒼空くん、今笑った?」 「……別に」 「笑ってたよね?」 「気のせい」 少しだけからかうような心春の表情に、蒼空はなんとなく視線をそらした。 ――――― 途中の公園の屋根の下で、4人は少し雨宿りをすることにした。 屋根に当たる雨音が、一定のリズムで響いている。 「なんかこういうの、ドラマみたいじゃない?」 莉子が言う。 「お前すぐ青春っぽくしたがるな」 蓮が笑う。 「だって実際青春じゃん!」 その言葉に、心春が小さく笑った。 蒼空はベンチに座りながら、雨の向こうをぼんやり眺める。 すると隣に心春が座った。 「今日、数学の問題わかった?」 「最後のやつ?」 「うん。途中まではできたんだけど……」 「たぶん、ここで式変形するんだと思う」 蒼空がノートを開いて説明すると、心春は真剣に聞いていた。 「なるほど……!わかったかも」 「たぶん合ってる」 「ありがとう。蒼空くんって、教えるの上手なんだね」 「そうでもない」 照れ隠しのように短く返す。 その様子を少し離れた場所から見ていた莉子が、蓮の腕を軽くつついた。 「ねえ」 「ん?」 「なんか、いい感じじゃない?」 「まあ、前よりはな」 二人は顔を見合わせて、こっそり笑った。 ――――― 雨が少し弱くなってきた。 「そろそろ行こっか」 心春が立ち上がる。 再び歩き出した帰り道。 空はまだ灰色だったけれど、どこか明るくなり始めていた。 別れ道に着く。 「じゃあまた明日!」 莉子が手を振る。 「またね」 心春もやさしく笑った。 蒼空は小さく手を振り返す。 二人が去っていくのを見送りながら、蓮がぽつりと言った。 「蒼空」 「何?」 「お前、最近ちょっと楽しそうだな」 「……そうか?」 「そうだよ」 蓮は笑って先に歩き出す。 蒼空は少しだけ雨上がりの空を見上げた。 雲の隙間から、夕焼けの光が少しだけのぞいていた。 いつもの学校。 いつもの帰り道。 でも―― 雨の日の教室で過ごした時間は、 確かに昨日までとは少し違っていた。