「__だから、行かせてくれって言ってんだよ」 「で、ですが…あちらの世界は、酷く無惨です。我らの敵でもある、愚かな人間たちが沢山いるのですよ…!?」 「それでもいいさ。私は、調査をしたいだけ。人間を傷つけたりはしない」 「ですが…」 「…仮に、人間全員が愚かで無知だと思うか?その根拠はあるのか?」 「っ……」 「不安なのは分かるさ。でも、私は大丈夫だ」 「……分かりました。でも…危険なことはしないでくださいね…?」 「ああ、ありがとう。そうだな…調査するところは何処にするか……」 「お、『天蘭学園』か…面白い。人間共が沢山いる。決めた。調査先は此処だ。__学校には、ごくたまに無知な人間がいるからな…調べるのに丁度良い」 そう言って、その少女は薄気味悪い笑みを浮かべた。 --------------------------- «ありさ視点» アキトくんと優奈ちゃんが付き合って、およそ3ヶ月が経った。二人共、段々と親密を深めていっている。 「ね~優奈ちゃん、アキトくんとの進捗はどう?」 「はい、だいぶ仲良くなってきましたよ!」 「そっか~、それなら良かったぁ!もしまた分からないことがあったら、恋愛マスターの私に聞いてね!」 「恋愛マスターとは…??((」 『~♪♫』 「……あ、チャイム鳴っちゃった。じゃ、また後で!」 「はい席について~!!!早く~!!!日直挨拶~!!!」 「きりーつ、れーい、ちゃくせーき」 「「「よろしくお願いしまーす」」」 「はい、欠席者はいないね。良かった良かった。…あ、そうそう。みんなに重大発表があるんだ」 「このクラス二人目の転校生が来たぞ~」 「「「……え」」」 沈黙。1秒後。 「え~~??!?!?」 「安藤さん来たばっかりなのに!?」 「また一人!?」 「はい静かに!!じゃあ、入ってこーい」 __ガラッ 「……」 入ってきたのは、紫と青のショートヘアの女の子。かなり、目つきが悪い。それに、何か凄いオーラを感じる。 「…じ、自己紹介出来るか…??」 先生も、そのオーラに圧倒されているらしく、言葉がギクシャクしていた。 「…黒闇舞香。以上」 …え、それだけ?他に好きな食べ物とか… 「じゃ、じゃあ、黒闇の席は……あ、城崎と井上の間な!」 「え…?」 「俺らの隣っすか!?!?」 「すまん、そこしか空いてないんだ。じゃあ黒闇、あそこに__」 すると、先生が言い終わるのも待たずに、黒闇……舞香ちゃんは、席に向かった。すぐさま椅子に腰掛け、カバンから教科書を出し、机に置いた。 「……よろしく」 「お、おう…」 「よ、よろしくな…」 流石にユウくんとアキトくんも、あっけらかんとしていた。 「じゃ、じゃあ、黒闇は今日初めて来たから、誰か学園案内をしてくれる人は__」 「いえ、いいです」 「「「…え?」」」 「この学園内のマップは全て把握してます。なので大丈夫です」 「そ、そうか…そ、それでは、授業を始めるぞ!」 先生は、いそいそと授業の準備を始めた。みんなまだ、舞香ちゃんに目が釘付けになっている。 元々、この学園は私立だから、結構広いはず。でもどうして、もう完全に覚えているんだろう…?記憶力が良いだけ? でも、何だか…変な感じがする。…いや、変なことを考えるのはやめておこう。 そう自分に言い聞かせながら、私は国語の教科書を開いた。 --------------------------- ー食堂ー 「ねぇ優奈ちゃん、さっきの__舞香ちゃんって、何か妙だよね。変な感じがするというか…」 「まあ、そうですね…他者とは違うような気がします」 「う~ん…分からないなぁ…舞香ちゃんは結局、どういう子なんだろうか…」 そんな話をしていると… 「……」 ストンッ。 「…え?」 なんと、本物の舞香ちゃんが隣に座ってきたのだ。何も気にする様子もなく、ミートソーススパゲティを黙々と食べている。 「……あ、あの…他の席とか座ったら…?」 「……」 私が恐る恐る話しかけると、舞香ちゃんはゆっくりとこちらを向いた。目が怖い。怖すぎる。 「…此処しか空いていなかった」 「え…?」 「だから此処しか空いてなかったんだ。他の席はもう満席」 「あっ、そうなんだ…」 「……文句あるか」 舞香ちゃんはそういうと、ギロリと睨んできた。更に怖い。 「いっ、いや何も!!!」 「…あっそ」 舞香ちゃんはそういうと、またご飯を食べ始めた。 「(怖かったぁ…)」 やっぱり…この子、全然分からない。心情が読めない。話しかけると怖いし… 「(本当に、悪い人じゃないよね…?)」 ちらっと舞香ちゃんを見た。何も気にする様子もなく、スパゲティを食べているだけ。__やっぱり、舞香ちゃんは謎だらけだ。 何となくモヤモヤする気持ちになりながらも、私はご飯を口に運んだ。 --------------------------- «舞香視点» 飯を食い終わったのは良いものの、食堂は人間が多すぎる。息苦しいし五月蠅い。もういっそ次から売店で食うか…。 「「「キャーーッ!!♡♡」」」 「「「かっこいー!!♡」」」 「うぉっ…何だ…?」 いきなり、女子の黄色い悲鳴が聞こえてきた。何事かと思い、振り返ると…… 「…なあアキト、何で俺ら「かっこいい」とか言われてんだ?」 「さあ??」 私の両隣の席の、天然無自覚誑し野郎共のユウとアキトがいた。 「あ、黒闇さん!見た見た?あの二人かっこいいよね~♡」 「私、さっき一緒に写真撮ってもらったんだ~♡ケータイの待ち受けにしよ!」 「絶対黒闇さんも、あの二人の魅力を知ったら確実に墜ちるって!」 「……」 確かに、あの二人はかなりの美形だ。だが…私には全く分からん。どうしてこんなに女子が群がっているのか。 「…興味ねぇよ。ただ美形なだけだろ。たかが美形なだけの男子で浮かれちまって、馬鹿みてぇだな」 __シン… 「…ひ」 「ひっど~い!!!」 「黒闇さんサイテー!!」 「そこまで言うことないでしょ!!」 「ユウ様とアキト様のこと、まだ何も知らないくせに!!偉そうに言わないでよね!!」 「…チッ…」 あークソッ…キンキンうるせぇなぁ… 「……」 --------------------------- «鈴視点» あいつ……ムカつく。今日転校してきた、黒闇舞香。 初日から偉そうな態度、しかもユウくんのことを、見下したような言い方をして…… 「チッ…あいつ許せない…調子乗りやがって…ッ!」 「あ、鈴ぅ、どうしたの?」 「顔、怖いわよ」 「…理穂、それに瑠美も。聞いてよ。今日転校してきた、黒闇舞香っているじゃない?ウザいわよね」 「あー、確かに。さっきユウくんにあんなこと言って…許せない!」 「あいつ偉そうな態度取ってんじゃねーよってカンジ」 「……あら、どうしたのかしら?」 「私らも混ぜて~」 「あ、あかり様!美咲も」 「今日来た黒闇舞香っているじゃないですか。さっきユウくんのこと、「顔がいいだけ」って言ってたんですよ!ウザくないですか?」 「……は?何よそれ…あの子…よくユウくんの前でそんな態度取れるわね…!」 「…待って、アキトくんにも、そんな態度取ってないわよね」 「…そういえば、さっき…」 --------------------------- 数分前。 「……でさー!!この前あったことがめちゃ面白くてー!!!」 「マジ~!?マジおもろ、ウケる~!w」 「あとあと~__」 「…おい」 「はい!?…って、舞香やん。どした!?」 「さっきからうるせぇんだよ。耳がキンキンする。声量を抑えろ」 「……あ、はい…すんません…」 「……フン」 「あ…行ってしもた…」 --------------------------- 「__ってことがあったのよ」 「何よそれ…許せない…許せない!!!」 「ああもう!こんな話をしてたら、またイライラしてきたじゃない!…あ、そうだ。あかり様ぁ。あいつに一泡吹かせてやりましょうよぉ」 「あらぁ、いいわね。ちょっとは痛い目に遭ってもらわないと、こっちも気が気じゃないからね」 「やったぁ~!!さて、何をしてやろうか……」 --------------------------- «舞香視点» 翌日。 「……おはっす」 私は、席につこうとした。だが… 机の上に、マジックペンで文字が書いてあった。 『ムカつく』 『消えろ』 『学校くんな』 『転校してくんなよ』 「……」 「舞香ちゃん、おはよ~う!!…って、何これ!?」 しばらく棒立ちしていると、ありさが私の席に来た。 「何でこんなッ……まさか、佐藤さんたちの仕業…!?とにかく、早く拭かなきゃ!待ってて、私雑巾持ってくる!!」 「…いや、いい」 「…え?」 「私一人で何とかする。お前は戻れ」 「でっ、でも__…」 「ごちゃごちゃうるせぇな。いいから早く戻れ」 「っ……わ、分かった…」 --------------------------- «ありさ視点» 舞香ちゃん、大丈夫かな…あんな机いっぱいの落書き、一人で消せるわけないよ… 「…あ、そうだ。今日日直だから、手紙取りに行かなきゃ」 日直の仕事のことを思い出して、私は廊下に出た。 数分後。 「うーん、重い…今日は手紙いっぱいあるなぁ…あ、そうだ。舞香ちゃん、大丈夫かな…」 舞香ちゃんのことが気になり、私はすぐに教室に戻った。 「…舞香ちゃん!だいじょ……えぇっ!?」 「……」 なんと、私が少し教室を出ただけで、舞香ちゃんの机の落書きは、綺麗さっぱりなくなっていた。 「な、なんで!?3分くらいしか経ってないのに…」 「……」 「ねえ、どうやったの!?マジックペンだよ?簡単に消せるわけないのに!」 「……詮索しようとするな。鬱陶しい」 「…あ…ごめんね……」 まずい、舞香ちゃんを嫌な気持ちにさせてしまったかも…本当ごめん、舞香ちゃん… そして、次の日から、舞香ちゃんの不思議なことは続いた。 次は教科書が原型がないほどボロボロに破けていたのに、またもやすぐに元通りに。その次は机の上に、割れて中から水が溢れ出ている花瓶が置いてあったのに、これもすぐ元通り。 「……教科書は先生が予備を持ってたのかもしれないけど…花瓶は自分で直すことはできないんじゃ…うーん……舞香ちゃんは、物を直すことが得意なのかな…?」 色々考えてみたけれど、分からなかった。元々舞香ちゃんは不思議な子だし、物をすぐに直せても、別に驚くことではないのかもしれない。 「……このことは迷宮入りかもなぁ…」 そう言って、私は大きなため息をついた。 --------------------------- «鈴視点» 「…あーもう…!」 一昨日から、黒闇舞香に様々なことを仕組んできたのに、ぴくりとも反応しない。そこがまた、ムカついた。 「生意気ね…」 「黒闇舞香のこと?」 「確かに、何やってもスンとしてるわよね」 「自分はクールですアピールでもしてるんじゃない?」 「うわ何それダサー」 「…とにかく、もう黒闇舞香はダメ」 「そうね。私たちのイライラを発散するには、やっぱりあいつらしかいないわ…♪」 「確かにぃ!」 「あいつらなら、逆らったりしてこないもんね」 「あいつらは私たちのストレス発散道具だもんねぇ」 「今までのイライラ、あの子たちで発散してやるわ」 ああ、楽しみ!私は、笑いが止まらなかった。 --------------------------- «舞香視点» 放課後。 ある日、不意に嫌がらせ行為がなくなった。正直ありがたい。毎度毎度物を直すのが面倒だったから。 にしても、あの嫌がらせは誰がやったのだろうか。私も人は疑いたくないが、「佐藤鈴」とやらが怪しい。私を見て、ずぅっと不敵な笑みを浮かべている。正直言って気持ち悪い。 「…あ゛ァ゛…だりぃ……こんなとこ、来るんじゃなかった…」 学校とは全てが退屈だ。椅子に座ってじっとしながら教師の話を聞く。ただそれだけ。それが一番つまらない。でも別に刺激が欲しいわけでもない。 ※メモクレに続きます
※メモクレの続きです。 「…もういいわ。早く荷物まとめて帰ろ…」 そう言って、鞄を持った。だが… 「……」 さっきから、嫌な予感がする。足が動かない。 どうしてか分からないが、__校舎裏。そこから嫌な予感がする。放課後には生徒はあまり立ち寄らない場所のはずだが… 「…一応、行ってみるか…」 私は、校舎裏まで走った。 --------------------------- «ありさ視点» 「優奈ちゃん、私園芸部だから、帰る前にお花に水やりしに寄っていい?」 「ええ、いいですよ!何を育てているのですか?」 「シュウカイドウっていうピンク色のお花。明るい日陰だとよく育つから、光加減が丁度いい校舎裏に置いてるんだ~」 「へぇ、そうなのですね。また本で調べてみますね!」 「ふふ、すごく綺麗なんだよぉ」 そう言いながら、優奈ちゃんと他愛もない会話をしていると… 「…あら」 「ひっ…!?」 「さ、佐藤さん…」 角から、佐藤さんが歩いてきた。それだけじゃない。田中さんに鈴木さん、あかりちゃんに__美咲ちゃんまで来た。 「ど、どうもぉ…」 「あらぁ、丁度よかったわ。私たちね、今すっごくイライラしてるのよぉ」 「え、えっと…」 「だから、私たちの道具になってもらえる?」 「え、あの…ど、道具ってどういう__」 __ドッ 「う゛っ……!?」 「あ、ありさちゃん!!」 いきなり、佐藤さんに蹴られた。地面に尻餅をついてしまう。 「いい反応ねぇ!あ、そうだ。カバン貸しなさい」 「え、どうして…」 そう言って、鈴木さんは私のカバンから持ち物を全て出した。 「…あら、何これ」 「…!そ、それは…」 付き合って3ヶ月記念にユウくんから貰った、私のイニシャルが入ったハート型のキーホルダー。汚したくないから、いつもはあまりいじらないスマホに付けている。 「これ、ユウくんから貰ったの!?生意気な…」 __パリンッ 「あ…」 「あーごめーん!手が滑っちゃったぁ~!」 そう言って、鈴木さんはキーホルダーを地面に投げつけた。ガラスでできているから、地面に落とせば一瞬で欠けてしまう。でも鈴木さんは、思いっきり地面に叩き付けたから、欠けるどころか、真っ二つに割れてしまった。 「そ、そんな…酷いっ……」 「アッハハ!ざまぁ!」 「ちょ、ちょっと!何しているのですか!!」 「はァ?アンタには関係ないでしょ?」 「っ……」 すると、美咲ちゃんが優奈ちゃんに、ゆっくりと歩み寄った。 「…てかアンタ。アキトくんと付き合ったんでしょ?」 「……え…」 「どうして奪うのよ!!アキトくんは私のものなのよ!?何かしたでしょ!!」 「い、いや…何もしてないですよ…!」 「ウソよ!!許せない…この性悪女!!」 __バキッ 「っ……!」 「優奈ちゃん!!」 「アンタみてぇな根暗がアキトくんと釣り合うわけねぇよ!!!」 「……」 恐る恐る顔を覗いてみると、優奈ちゃんの目に涙が溜まっていた。 「も、もうやめてよ!!私たちは道具じゃない!!」 「はあ~?ゴチャゴチャうるさいわねもう!!」 「い゛っ……!?」 反論しようと思ったけれど、ダメだった。あかりちゃんに、お腹を蹴られた。 「うぇっ……!」 「ふふ、惨めね」 「っ……」 __ダメだ。もう体力がない。もう、佐藤さんたちは満足するまで止まらない。どうしよう、どうしよう…! __ジャリッ 「…あ」 「(ま…舞香ちゃん…!?)」 土を踏む音が聞こえて振り返ってみると、舞香ちゃんが立っていた。無関心な目をしている。 「(お願い舞香ちゃん…助けて…!)」 私は、目で助けを求めた。 --------------------------- «舞香視点» この学校に来て分かった。最初は人間全員が愚かではないと思っていた。 だが、違った。人間など、用が済んだら終わり。容易く裏切る生物なんだ。 私は今、その状態にある。ありさと優奈が、佐藤たちに暴力を振るわれていた。ありさが、佐藤たちに気づかれないように私を見ていた。 「助けて」 目がそう言っていた。一瞬助けようと思ったが、やめた。どうせありさも、すぐに私のことを忘れる。そう思ったが__ 「うぅっ…」 「ほらほら~、立ってみなさいよ!!」 …あの光景を見ていると、苛々して仕方が無い。あれが人間の本能だというのに、腹が立つ。…私は、どうかしてしまったのだろうか。 でもまあいい。助けたら終わりだ。 「…お前ら、何してんだ」 「……!く、黒闇さん…!?」 「舞香ちゃん…」 「あ?何よ……あ~!黒闇舞香!!なんでいるのよ!」 「……別に。声がしたから」 「あっそ。ならアンタには関係ないことよ。どっか行ってよ。邪魔なのよ!」 「……」 「ま、舞香ちゃん…?」 佐藤たちの、憎たらしい傲慢な態度、他人を傷つけることを何とも思っていない目。それを見ると__ 「……もういいだろ。やめろ」 「何?止める気?悪いけど、無理よ。アンタみたいな弱い奴が私たちを止めれるわけないわよw」 「……愚かだな」 「舞香ちゃん…だ、大丈夫…大丈夫だから…」 「どうせ人なんて、簡単に騙せるんだから。私たちはそれを利用しているのよ?希望から絶望に落とす。それが私たちの一番の快楽なの。アンタたちも人なのよ?今まで誰かに裏切られたことはないって言える?」 佐藤がそう言った瞬間、私の中の何かが弾けた。 群れで行動している時は上から人間を見下している態度に、激しい怒りを覚えた。 「……あのさ」 「あ?何よ」 「私が、普通の「人」だと思ったか?」 「……え?」 --------------------------- «ありさ視点» 「私が、普通の「人」だと思ったか?」 …え…?どういうこと…!? 「な、何言ってるのよ!アンタ、人間でしょ!?」 「その根拠は、一体何処にあるのやら…人間はやはり、無知だ。一人では何も出来ない。ただの底辺の集まり」 「……アンタ…何言って…ッ…!?」 「本当、救いのない世界だな」 「ちょっと待って…アンタもしかして…」 __ズオォ… 「……!?」 「ま、舞香ちゃん!?」 突然、舞香ちゃんの体から黒い光が出てきた。 「私が人間なんて、いつ言った?」 舞香ちゃんがそう言った瞬間、その黒い光は、舞香ちゃんの体を全て包んだ。 「アンタ…何をしてるのよ!?!?」 「何って…」 「本来の姿に戻っているだけだが」 舞香ちゃんがそう言った瞬間、黒い光がなくなった。 「ま、舞香ちゃ…え…?」 __バサッ 意識が歪むような、大きな羽音。それは__舞香ちゃんの背中からだった。 黒くて、尖ってて、どこかで見たことがある。 「……悪魔の…羽…」 「いやァ、流石にこの姿になるのはキツいわ」 「え…え……?」 「あ、そういえば、転校してくる前に調べたんだが…お前らのような悪い子たちのせいで、不登校、自殺、その他がこの学校で相次いでいるらしいな」 「は、はぁ?知るかよ!!そんなの全部、相手が悪いんでしょ!?」 「……あー、もう駄目だ。何を言っても通じない。もう面倒くせぇわ。じゃ、手っ取り早い方法で「お仕置き」させてやる」 「お仕置き?何言って…」 「……うぉおい!どないしたん!?」 「何か大きな音がしたが…」 「……ユ、ユウくん!?」 「アキトくんも…」 「…って、舞香!?なんだその姿は!?」 「…あ、ヤバ。人が集まってきちまった。じゃ、お仕置きの時間だ。これで少しは反省するといいんだが…ま、そんな上手くいかないか」 「ちょっと!待っ__」 「転送」 __ビュンッ 「え!?」 瞬き一つの間に、佐藤さんたちが跡形もなく消えた。 「…ふー、疲れた」 気づくと、舞香ちゃんも元の制服姿に戻っていた。 「…黒闇さん。まさか貴方…」 「……ああ、驚かせてしまってすまなかった。さっき見た通り、私は「悪魔」だ」 「悪魔ぁ!?」 「…ちょっと待て俺ら情報整理ができへん!!!」 「おう馬鹿アキト。来てたのか」 「誰が馬鹿じゃ」 --------------------------- 「__というわけで…佐藤さんたちに暴力とかさせられて…」 「はぁ…またあいつらかよ…」 「でもそんなところを、舞香ちゃんが助けてくれたの!実は舞香ちゃん、悪魔だったらしくて…」 「ほう、成程な…」 「え悪魔ってあの人外の?????え???」 「お前ら一旦黙れ」 「…でも舞香ちゃん、佐藤さんたちは、戻ってくるよね…?」 「ああ、一定時間経つと自動的に戻ってくる」 「そっか…よかった…」 「……何故お前は、こんな時まで自分に危害を加えた奴の心配が出来るんだ。普通人間は、相手が痛い目に遭って喜ぶ生き物だが…」 「…私は」 「最後まで信じたいの。佐藤さんたちも、わざと私たちに嫌なことをしたんじゃないと思うから…」 「……」 「だから、私は佐藤さんたちのことを、嫌いな人だとは思ってない」 「……ありさちゃんは、優しいですね」 「そんな…優しくなんてないよ…あ…」 「ん?どうした、ありさ」 私は、ふと地面にポツンと落ちているイニシャルキーホルダーを見た。真っ二つに確実に割れている。 「……ごめん、ユウくん。折角ユウくんから貰ったキーホルダー、割れちゃった…」 「…!?ちょ、ありさ、泣くなって…!」 「あちゃ~…これは簡単には直せないかもしれませんね…」 「……貸せ」 「え、ちょっと…!?」 「ちょっと待て」 舞香ちゃんがそう言った瞬間、舞香ちゃんの手から淡い紫色の光が出た。すると… 「……わぁ…」 あっという間に、キーホルダーは元通りに戻ったのだ。 「ほらよ」 「わっ…」 「お前にとって大切なものだろ。…大事にしろ」 「…舞香ちゃん…かっこいい…!」 「……は…?」 「すごいすごーい!!元通りになっちゃった!まさか、机の落書きも、教科書も花瓶も、今の力で直したの!?」 「…ま、まあそうだが…」 「すごいすごーい!!ありがと~!!!」 「ちょッ…!?」 「舞香さん、お優しいですね!!」 「っ……」 「…あ、舞香ァ、耳赤いで~?」 「あ゛…?!見ンじゃねぇよ!!!」 「あ~、照れてるんや~?」 「黙れ捻り潰すぞ!!!!」 「ねぇ舞香ちゃん、折角助けてくれたんだもん。私たち、お友達になろうよ!」 「…は?」 「そうですよ!きっと楽しいですよ!」 「あ゛ぁ…!?…し、仕方ねェな…」 「やったぁ~!!!今日から私たち、舞香ちゃんの友達!!」 「っ……」 「また照れてる~!!」 「照れてねぇし!!!!」 --------------------------- 数日後。 「……ありさ、優奈。…一緒に食堂行きたい」 「いいよ~!一緒に行こう!」 「何食べます~?」 「……なんか」 「ん、ユウくん、どしたの?」 「この前のことがあってから…」 「舞香、二人にべったりするようになったな」 「うっせぇな。別にいいだろ」 「舞香変わりすぎやろ!!!こんなデレデレして!!!!」 「黙れ」 「こら舞香ちゃん!!そんなキツく言ったらダメ!」 「……すまん」 「ほら!!!!!態度の差!!!」 最初はどういうことかと思ったけれど、舞香ちゃんとお友達になったら、舞香ちゃんのいいところ、いっぱい知れた。 「舞香さん、食堂で何食べます?」 「……ホットケーキ」 「可愛っ」 「ふふっ…(*^^*)」 これからも、舞香ちゃんともっと仲良くなって、舞香ちゃんのいいところ沢山見つけなきゃ! ……あとついでに可愛いところも……ね(*^^*) -end-