8年前。 街で11人が何者かに殺害される事件が起きた。 被害者に共通点はない。 年齢も職業もバラバラ。 ただ一つだけ共通していた。 全員、 午前0時ちょうどに命を落としていた。 現場には血痕があるのに、 指紋も足跡も、 能力の痕跡も一切残っていなかった。 ■容疑者 監視カメラには、 現場付近を歩く灰色の髪の少年が何度も映っていた。 しかし、 事件が起きる瞬間だけ映像が乱れ、 少年の姿も消えてしまう。 警察は少年を何度も事情聴取した。 少年は静かに笑って答えた。 「オレは何もしてないよ。」 「ただ、見ていただけ。」 証拠は一つもなく、 少年は釈放された。 ■不可解なこと 事件を担当した刑事は後に証言した。 「あいつを見ていると、自分が犯人なんじゃないかと思えてくる。」 別の刑事は、 「あいつの笑顔を見た瞬間、事件の記憶が曖昧になった。」 と証言している。 ■噂 能力者の間では、 こんな噂が広まっている。 「事件現場には必ず灰色の少年がいる。」 「犯人より先に、あいつが現場へ来ている。」 「でも誰も、あいつが犯行をしているところを見た者はいない。」 ■現在 今でも新たな事件が起きるたび、 現場の近くでこの子を見たという目撃情報が出る。 しかし証拠は一切ない。 事件について聞かれると、 少年は少し笑ってこう言う。 「犯人が誰か?」 「そんなの……知ってるよ。」 少し間を空けて、 「でも、教えない。」
名前:契 メビウス / 柊キライ feat.flower