数年前―― ある研究施設で起きた 「第零実験暴走事件」 その日、 施設にいた研究員たちは全員意識不明になった。 建物は壊れていない。 争った跡もない。 なのに、 全員が同じことを言った。 「音が消えた」 たったそれだけ。 事件の中心にいたのが、 当時まだ幼かった 「「鬼灯 」」 鬼灯は生まれつき、 周囲の音を消してしまう特殊な力を持っていた。 研究者たちはその力を調べていた。 だが実験中、 鬼灯が強い恐怖を感じた瞬間―― 世界から音が消えた。 機械も。 警報も。 悲鳴も。 全てが静寂に飲み込まれた。 事件後、 鬼灯だけは無傷で発見された。 しかし鬼灯自身も、 何が起きたのか覚えていない。 覚えているのは、 静寂の中で聞こえた一つの声だけ。 「やっと見つけた」 ■噂 今でも能力者の間では こんな噂が流れている。 深夜0時。 突然周囲の音が消えることがある。 虫の声も、 風の音も、 自分の足音さえ聞こえなくなる。 その静寂の中で、 白い髪の少女を見た者がいる。 その少女は何も言わず、 ただこちらを見ている。 そして目を逸らした瞬間、 いつの間にか消えている。 能力者たちはその現象を 「零時の静寂」 と呼んでいる。 中にはこう言う者もいる。 「あいつが近くにいる時だけ、世界の音が消える」 「もし静寂の中で声が聞こえたら、絶対に返事をするな」 ■現在 鬼灯は噂を気にしていない。 むしろ、 その噂の正体を探している。 そして時々、 誰もいない空間に向かって呟く。 「まだいるんだろ」 「……今度こそ、お前を見つける」
名前:鬼灯 ラブカ? / 柊キライ feat.flower