*****この作品はタップorスペースキーで挿絵が変わります。TAP/SPACEと書かれているところに来たら挿絵を変えてください***** 夜の首都高。様々な車が行き交う中、高らかに響く音を引き連れて白い車が1台、走っていた。 R35 GT-R。ドライバーは、流星のように流れ行く景色を見つつ、減速。シフトダウン。 複雑に絡み合う高架の中を進む。とあるPAへ。そこにはライムグリーンの車と男―――リトラと走也がいた。 横に停めた車から降りる。走也の呟きが、聞こえた。 「お前が…斗連乃か」 ―――――TAP/SPACE――――― 斗連乃と呼ばれたその男に、走也が話し始める。 「この間はびっくりしたよ。急に『バトルをしないか』って電話がかかってきて」 「はは。でも、一回やってみたい、って思ったろ」 「ああ、思った。…首都高って、どういうものなのか。なんか、ワクワクしてるって感じるんだ」 「いいじゃないか。早速…始めるか」 「よし。どうなったら、決着だ?」 「そうだな。ここから向島線でC1に入る。内回りで一周。江戸橋JCTの分岐で、ラバーポールの並びが始まった所をゴール地点にしよう。どうだ」 「分かった」 「じゃあ、とりあえず俺は後ろを走る。お前の走りを、見てみたいからな。ちなみに」 そこで一旦区切る。 「俺のR…1700psだ」 「…」 1700ps。どういうものなのだろうか。怖い、よりも、見てみたい、そう思った。 「…了解だ。行くか」 2台のドアが閉まる。そして、静かに動き出した。 ゆっくりと、踏み増す。加速。連なり細い道を進む。やがて合流。本線へ。 数日前斗連乃から来た、バトルの誘い。受けて立つ、と走也は決めたのだった。初めての首都高。走り方は分からない。怖さもある。だが今バトルが、始まる。 ―――――TAP/SPACE――――― 加速。ミラーには、Rの真っ白なライトとボディ。前には、長い直線が伸びている。100km/h前後で流れる一般車の脇を、駆け抜けていく。 ―――首都高って…“もの”が、色々ある。 分岐。看板。壁。高架の継ぎ目。そして一般車。 いつもみたいに、攻めきれない。ところどころで、スピードが落ちる。だがそんな中でRは、異様に。 安定していた。 例えば直線で、前に一般車。流れるようにそしてどっしりと、一瞬で真横に動き、避ける。 例えば高架の継ぎ目。上下の揺れがない。フラットに抜けていく。 「速いな…あいつ」 4WDの速さを、見せつけられる。だがリトラはFR。安定感は、劣る。彼のようには攻められない。そしてRが秘めるパワーは、リトラの比ではない。 でも斗連乃は、抜かなかった。 車は速い。ドライバーは首都高に慣れている。本気を出せばすぐ、抜けるはず。だが抜かなかった。それは、走也の走りを見るため。後ろに張り付き、ずっとリトラを見ていた。リトラのミラーから、Rが消えない。僅かに引き離しても、詰められる。いつまでも追ってくる。 「…何なんだ」 プレッシャーを、感じていた。後ろから迫る、1700の圧。耐える。続いていく道路照明の下で、前へ進む。 長い橋を渡る。その先にはコーナー。 ―――直線は、引き離せなかった。ここでどうにか、状況動かしたいな… ブレーキング。入っていく。ハンドルを切る。緩い下り坂、そして、地下へ。オレンジ色の空間に飛び込む。曲がり切り、道は再び真っ直ぐに。ここから加速――― その一瞬ののち。後ろにいたRが、真横、 イン側にいた。 ―――――TAP/SPACE――――― 1700ps。 それが、解き放たれた瞬間だった。 斗連乃は、なお切り込んで、踏み込んでいく。トンネルの壁は当然、静止している。その隣を、一瞬で通り過ぎる。数cmの隙間。トンネルに、爆音が響き渡った。 斗連乃は、笑っている。そしてまだ踏んでいる。 立ち上がり。加速。進む。乱れない。道を掴む。もっと、前へ。 そして。 抜いた。 丸目4灯のテールが、遠ざかっていく。その光は、目に強く焼き付いた。走也は、絶望しかける。 だが、しなかった。 「まだ…やれる。まだだ。絶対、どっかで」 呟く。 「…いくぞ」 追走が始まる。あの丸目4灯を、抜きに行く。 走也は、考えていた。 1700ps、そのパワーは凄まじい。だがそれは、直線でこそ。コーナーでは、力を持て余す。 そして、今の俺と“こいつ(リトラ)”は、前と違う。 まだ勝負できる。いける。 行くぞオラ。 抜いてやる! さらにシフトアップ。路面を蹴り飛ばし、加速する。 赤く光る4つのリングは、かなり先だ。それでも、見失わない。必ず追いつく。 一般車の脇を、すり抜ける。ハンドルを、ペダルを、シフトを動かす。トンネルを抜けた。道を照らすのは、月と、街の光だけ。4つのリングが、よりはっきり見える。離されず、食らいつき続けた。 一方、斗連乃は。 「へえ」 そう呟く。リトラクタブルのライトが後ろに消えていかないことへの、少しの驚き。 しかし斗連乃に、焦りはなかった。また、呟く。 「なにせここは、俺の縄張りだ。そうたやすく抜かれて―――」 目の前に、道が開ける。 「たまるか」 踏んだ。 GT-R 斗連乃Ver. @AE86TRUENOLEVIN ヒマジン自動車 カフ @Gijyutsubuno-Himajin Jey reunir @TANK_17 VIA Vogue @KANGOO-Love MIDNIGHT SPARKとコラボした作品です。MIDNIGHT SPARK公式スタジオはこちら https://scratch.mit.edu/studios/51426863/ 投稿が大きく遅れてしまったことをお詫びします。 第8話 第9.5話