歩いていると、生暖かい夜風が頬を撫でた。 街灯の下、自分の影が長く伸びている。美香と二人で歩いていた時は、影も二つ並んでいたのに。 ふと見上げると、あの日と同じような白い月が浮かんでいた。 「月が、きれい……」 無意識に呟いて、すぐに唇を噛んだ。美香がいない世界で、その言葉を口にするのがひどく残酷なことのように思えたから。 その時、ポケットの中でスマホが震えた。 取り出してみると、通知画面には信じられない名前が表示されていた。 『メッセージ1件:間宮美香』 心臓が跳ねる。 事故で壊れたはずの彼女の端末から? それとも、あの日送られなかったメッセージが今になって届いたの? 震える指で画面をタップすると、そこには短い一文だけが綴られていた。 「百合、約束、忘れてないよね?」 あの日、壊れたはずの美香のスマホから届いた、ありえない通知。 動悸が激しくなり、視界がぐにゃりと歪む。 「……っ、どういう、こと……?」 指が震えて、スマホを地面に落としそうになる。 彼女はもういない。遺影の前で、あの白檀の香りのなかで、私はさよならを言ってきたばかりなのに。 ふと、鼻先をかすめるものがあった。 夜の住宅街、排気ガスと湿った土の匂いに混じって、場違いなほど鮮やかに...白檀の香りがした。 「美香……?」 あたりを見渡しても、街灯に照らされた無機質なアスファルトが続くばかり。 けれど、ふと気づく。自分の影のすぐ隣、さっきまで何もなかった場所に、もうひとつ、薄い影が重なるようにして伸び始めていた。 その影は、ゆっくりと私の手の方へ伸びてきた...
自分にしてはかなり上出来。誰か繋いでくれ...。 てかホラーなんだが()