前章↓ https://scratch.mit.edu/studios/29586791/ 禍々しい気配。恐怖と嫌悪が体中に周り、今にでも逃げてしまいたい気持ちになる。 それなのに、その生命体から目は離れない。―――離れることができない。 その生命体の姿を、絶対に瞳の中に映さなければいけないと、少しでも視界から外してはいけないと、魂が訴えているようだ。 コツ・・・コツ・・・と、靴の音が鳴る。 汗が流れる。体のすぐそばを冷たい風が流れていく。 コツ・・・コツ・・・ 何千年もの時間が経ったんじゃないかと錯覚し思ったその時、その足音がゆっくりと止まった。 「こんにちは」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えっ?」 発せられた言葉に、強く握りしめていた手が思わず緩む。 「君は普通のひと?元気?病にはかかる?毎日食事をとったりする?」 投げかけられる言葉を、ただ耳で受け取ることしかできない。頭の中で色々なことが溢れかえって、考えることを邪魔する。 捉えている姿の、その後ろを見て、そのぐちゃぐちゃな頭の中に鋭い風が吹く。 「ロ・・・ットさん、は...」 その貫くものを見て、それが何なのか、彼がどんな状況なのかが、緩やかにはっきりしてくる。 そして完全に分かりそうになった瞬間、体の奥底から吐き気が吹き出してくる。 「う"っ・・・」 「あれ、大丈夫?どっか気分悪い?」 それが再び足を踏み出した時――――、ハチの目の前に腕が広がった。 「く、来るな!!」 「・・・・・・エイト君...?」 その腕は小刻みに揺れ動いていたーーーしかし彼はハチの目を確かに捉え、後は任せろと言わんばかりにハチの手をしっかりと握る。そして7Kに向き直り、力強い声で言うーーー。 「これ以上近づくなら...容赦はしない!」 7Kは依然として薄気味悪い笑みを浮かべていたが、エイトのその一言の後、僅かに気配が変わったように思えた。 「...やはり君も摘んでおくべきだ」 「っ...!?」 刹那、"羽"がエイトを貫こうとするーーー が、大きな爆発音と共にその動きが止まる。 「っ!!み、ミントさん...!?」 「エイト!ハチ!無事か!?」 「ミントさんこそ...っ!?」 直後、強烈な風が吹き抜ける。7Kが...ミントへ標的を変え、今にも攻撃をしようとしている。 「二人は早く逃げろ!ここは危険だ!あの幽霊やカナ達を探して早く逃げろ!」 「でっ...でも、ミントさんがっ...!」 「私のことなんていいから!...なんだか嫌な感じがするんだ...観客達も『動いていない』...絶対コイツが関係してる...!妙な力だ...ロットが全く敵っていなかった...私達だけじゃ絶対に無理だ!」 「で、でもっ...!」 ドオン!攻撃がミント目掛けて飛んできた。 「っ...!」 「ミントさん!」 ミントは息を吐き、ハチの目をしっかりと見て、ハチを安心させるように、己に語りかけるように、言った。 「私はカラストンビ部隊の3号。平和を守るヒーローだ。だから大丈夫・・・ここは私に任せて、早く行きなさい」 「っ...!」 「早く!」 「はい!」 ハチはエイトの腕を取り、震える体を奮い立たせ、走り出す。 「エイト君早く!」 「うん...!」 「...センパイも無茶しますね」 二人が去った後、ミントの後ろへカサネがやってくる。 「カサネ...君も早く逃げろ...!」 「無理ですよ...私だってカラストンビ部隊のヒーローですよ?皆を...守らなきゃね」 「っ...はは...あんなこと、言わなきゃよかった」 二人は武器を取り出し・・・そして7Kの姿を瞳に捉えた。 「素晴らしいね。かわいい後輩を逃がしてあげたんだ?でも残念...ここで終わりだよ」 「お前の目的はなんだ?何の為にこんなことを...」 「一つ言うなら...コイツを消す為だね」 「・・・何?」 7Kは目を閉じたロットを指差し、再び笑いかける。 「コイツは駄目だ...こんなの"この世界にいちゃいけない"」 7Kが指を動かすと、ロットの周りに無数の剣が出現し、ロットを取り囲む。 「安心しなよ、コイツはまだ生きてるから。・・・だから、あんた達も早く逃げたら?...逃げられるなら、だけどね」 「ふざけたことを...」 「ふざけてなんかいないさ。ほら、早く逃げなよ?」 「...どうせ全員消すつもりなんでしょう?」 「どうだろうね?...少なくとも、"無関係"な奴らに手は出さないさ。ここであんたらの試合を見てた、たっくさんのイカにタコ...消すより、記憶をいじった方が効率がいい」 「・・・なんだって?」 7Kは観客席へ視線を回した後、向き直って再び口を開く。 「寝ている間に見た"夢"を...真実にしてしまえばいい。ふふ...すごく効率的で...素敵だよね?」 7Kは笑って、背後に数えきれない程の矢を作り出し...そしてまた、笑う。 「"夢"が尽きたら...どこで目覚めるんだろうね?温か〜い家の中?西日が輝く教室?花が咲いた草原?...少なくとも、冷たい培養カプセルの中、なんてことはないよね。皆幸せな、いつもの日常の中で目が覚めるんだろう。...本当に全く...反吐が出るよ」 ミントとカサネは警戒体勢を保ち続ける。少しでも動けば危ないーーーそんな感覚を感じながら、武器を握り続ける。 「でも俺は優しいから...その夢は消さないであげる。だからさ、代わりにーーー」 声が反響する。世界の壁が、すぐそこにあるかのように。 「いらない芽を摘んだっていいよね?」 --------------------------- 『思っていたより■#◆損傷が激しい¥¥}>◇□』 『でも□□□まだ##残ってる¥¥||%通りだ>>>計画』 『今回¥¥==最後■■勝てる$$$絶対』 『絶対に■■◆□■逃す◇◇ものか』 【第二十八話終わり 第二十九話に続く】