プロローグ ここは、不思議な不思議な食堂です。 ここには、青春を思い出したい人だけが入れる、不思議な食堂。 第1章 春のお客様 今日は、家族総出で行う一大イベント。春の大掃除です。でも、本当に掃除をしている人は、少ないようですよ? 智子さんのように、昔の卒アルをめくって、思い出に浸っている人もいます。智子さんが、ある人を見つけたようですよ。 (あっ。彼だ。彼との初デートに食べた、食事。おいし かったな。どんな食事だったっけ?えーっと…) 智子さんは、思い出すために、静かに目を閉じました。 目を開けると、そこは、知らないところでした。目の前には、彼がいます。 「智ちゃんは、どれがいい?」 と、優しく、「智ちゃん」と語りかけてくれるのは、紛れもなく、あの彼でした。 (あの頃に戻れるなんて、夢みたい。魔法かしら?) 気づけば、小さくて可愛いおむすびが、目の前に、ちょこんと乗っていました。どうやら、この世界は、智子が何も言わなくても、昔と同じことを言っていることになるようです。智子さんも、随分と思い出してきました。 (この食堂の女将さんは、小柄で活発な、おばあさんのはず...って、あれ?) 女将さんが、あの時と違います。女将さんが。小柄でぽっちゃりとした、可愛らしいお姉さんに変わっています。すると、頭に、言葉が浮かんできました。 『お客様。ここは、あの時の場所ではありません。私 が、再現しているのです。ここは、あの時の、”若草食堂”ではなく、”青春おむすび食堂”ですよ。』 なんだか、不思議な感じです。耳から聞こえているわけでも、目から伝わっているわけでもないのに、自分の考えていない言葉が、次々と出てくるなんて。 智子さんが注文したものは、どうやら、いくらおにぎりだったようです。ふんわりとしたお米に、つやつやとしていて、輝いたいくらが乗っています。彼はもう早速食べ始めていて、にかっと笑って、 「美味い。」 と、顔を、ほころばせていました。 (私、この笑顔が好きだったんだよな。) 昔のことが次々と蘇ってきて、頬が緩みます。 そして私は、おにぎりを口に運びました。 しっかりと醤油が染み込んだいくらが、プチプチとはねています。お米はふんわりホッカホカです。 (そうそう。これこれ。) 智子さんは、おとなになった今、彼とおむすびを食べるこの瞬間が、彼との学生の頃の思い出で、一番鮮明に覚えていることが、わかっています。なので、この幸せと、おむすびを噛み締めました。そこで、目の前の光景が、パチンと、泡のように、弾けました。智子さんは、ふふふと笑いました。今一緒にいた彼が、年老いて、ソファに寝っ転がって、スマホをいじって、ウトウトしているのが、面白くって、ならなかったのです。
【作者からのコメント】 はい。新しい連載始まりました!この小説は、最低でも、4話続きます。(作者が飽きないかぎり)その後も、かけたら、5話、6話と続けていきたいですね。あと、ちょい文章おかしいでっす。なんで、「ここ読みにくすぎだろがい」と思ったら、コメントよろしくお願いします。ではっ以上。 クレジット サムネ Canvaで、作者が作成。